愛知県豊川市のシンボルでもあり、日本三大稲荷の1つとされる豊川稲荷。しかし、新型コロナウイルスの影響で、参拝客が激減し、お正月シーズンは例年約150万人が訪れる中、2021年1月は26万人に留まるなど、地域経済にとっても大ダメージを受けました。また、青年会議所が行う事業は素晴らしい内容が多い割に、どの事業(運動)にも共通していえる「継続性」「持続性不足」という課題を感じていました。
地域経済の活性化を図る取り組みとして「縁日参りプロジェクト」を行いました。縁日参りプロジェクトとは、豊川稲荷の縁日にあたる毎月22日宵の刻(※現在では毎月第三金土曜日)に夜間参拝という新たな分散参拝の形を提案するもので豊川稲荷580年の歴史の中でも初の試みとなりました。地域よし、主催者よし、お客よしの事業を生み出し続けるよう、2022年5月 に株式会社モテまちを立ち上げ、 2021年7月より「日本三大稲荷・豊川稲荷×ネイキッド YORU MO-DE(ヨルモウデ )」(以下ヨルモウデ )開催しています。「豊川稲荷ヨルモウデ」は神社仏閣で行う新たな参拝文化定着と地域活性を⽬的としたイベントです。2022年2年⽬を迎え、累計85,000⼈を超える来場者を動員することができました。鉄道(JR 東海、名古屋鉄道)と密に連携し包括的な PR を行い、地域のインフルエンサーと直接やりとりをしながら、来場者を確実に増やしていき、知事など影響力のある方々をイベントにお招きし企画趣旨の理解を求め、メディア露出を増加させる工夫を行うなど、多角的に話題作りを行うことで、多くの集客に成功しました。

『質的価値のポイント』
①通常日中の参拝が常識だったところ、夜に参拝し地域外の交流人口を増加させた点
②地域のイベントを継続的に発展させていく会社を設立した点
③クラウドファンディングの利用や地域の企業をステークホルダーとし、新たなプラットフォームを共創し、新たな価値を生み出した点

愛知県・豊川市 株式会社モテまち 代表取締役社長 谷口 慶一 氏

【背景・課題】コロナ禍の中、青年会議所がこの地域を活性化する

愛知県豊川市のシンボルでもあり、日本三大稲荷の1つとされる豊中稲荷。しかし、新型コロナウイルスの影響で、参拝客が激減し、お正月シーズンは例年約150万人が訪れる中、2021年1月は26万人に留まるなど、地域経済にとっても大ダメージを受けました。
谷口さんは2014 年に一般社団法人豊川青年会議所に入会し、日本青年会議所で得た経験(グローバルリーダー育成塾、新たな資本主義創造会議 八方よし経営塾)や、JCI豊川での理事を通して得た経験(モテまち豊川プロジェクトで 4300人動員、縁日参りプロジェクト ヨルモウデ で 5 万人動員)を通して、青年会議所が行う事業は素晴らしい内容が多い割に、どの事業(運動)にも共通していえる「継続性」「持続性不足」という課題を感じていました。 青年会議所の単年度制という長所は成長の機会が与えられチャレンジできる部分にあると思いますが、トレードオフ的に、役職者が変わるという継続力の少なさを外部団体・企業に指摘されることが多くありました。そうした、名誉と不名誉が入り混じる意見を払拭し、良い事業の伴走者となるような会社があれば良いと思うようになりました。


【手法】閑散期課題を解決することが新たなビジネス構築へ

JC運動で、かねてより閑散期課題に対して計画していた豊川稲荷及び周辺地域を活かした新たな観光の定期的な仕組みづくりを目的とした事業を行っていました。その1つに地域経済の活性化を図る取り組みとして「縁日参りプロジェクト」を行いました。縁日参りプロジェクトとは、豊川稲荷の縁日にあたる毎月22日宵の刻(※現在では毎月第三金土曜日)に夜間参拝という新たな分散参拝の形を提案するもので豊川稲荷580年の歴史の中でも初の試みとなりました。そこから想いは次第に強くなり、地域よし、主催者よし、お客よしの事業を生み出し続けるような会社を立ち上げたいと感じ、2022年5月 に株式会社モテまちを立ち上げることになりました。株式会社モテまち、は愛知県の特徴である、ものづくり王国、神社仏閣日本一、花の生産量日本一、といった地域資源と深く関わるステークホルダーと共に、地域資源を再解釈、再構築した魅力的なイベントやコンテンツ、新たなプラットフォームを共創し、新たな価値を生み出します。 2021年7月より「豊川稲荷ヨルモウデ」開催しています。「豊川稲荷ヨルモウデ」は神社仏閣で行う新たな参拝文化定着と地域活性を⽬的としたイベントです。このイベントを通して、システム開発、人的ネットワークの構築、継続的な資金流入をトータルデザインしています。


【プロセス】実績を重ねることで、協力者の輪が広がる

豊川稲荷ヨルモウデを行うにあたり、多くの障壁がありました。まずは、豊川稲荷の関係者やお坊さん達の理解を得ることです。なぜ、この事業を行わなければいけないのか。また、お坊さんの中には寝ることも仕事と考えている方もおり、夜に参拝客を集める必要があるのか説得をするまで半年ほど何回も何回も話し合いを重ね理解していただきました。
次に予算設定とその資金調達の課題です。このような事業は前例がないため、実際にコストがどのくらいかかるのか不透明な部分がありました。さらに、コロナ対策として検温や消毒などの通常よりも多くの資金調達が必要となりました。そのために、年間を通じての企画を魅力的かつ KGI、KPI をしっかり伝わるように仕上げた提案資料を作成し、企業訪問を繰り返し、資金調達に奔走しましたが、そこは地元の方々の協力もあり、開催までいたることができました。また、持続可能な事業に向けて入場料を設けることで事業費の確保を行っています。開催をすると、豊川市内の方はもちろん、駐車場には市外、県外ナンバーの車が多く、交流人口の増加を実現できました。その影響か最初はあまり協力的ではなかったお坊さんたちも次第に事業に協力してくださり、現在も毎月開催が続く継続的なイベントへと変わっていきました。

【結果】多くの地域連携をつなげていく

2022年2年⽬を迎えたヨルモウデ 。新型コロナウイルス感染拡⼤の中、安⼼安全で楽しめる夜間参拝企画として累計85,000⼈を超える来場者を動員することができました。安心安全を実現するために来場数に制限を設け、チケットが完売し、クレームとなるという嬉しい悲鳴もありました。継続して事業を行うことができた大きな要因は予算の確保にあります。大規模なイベントの予算の構成となる、リサーチ費、演出費、広報費、人件費を株式会社モテまちが保有するリソースをリーズナブルに提供することで、単純に地元主催者の予算の問題が起きにくくなり、開発費に予算を割り振りが可能になるなど事業継続の確率を上げる事に寄与する事につながりました。また、鉄道(JR 東海、名古屋鉄道)と密に連携し包括的な PR を行い、地域のインフルエンサーと直接やりとりをしながら、企画に対してやりがいや、愛着を持っていただき低コストで反響を期待できるプロモーションを行いました。そこから、知事や影響力のある方々をイベントにお招きし企画趣旨の理解を求め、メディア露出を増加させる工夫を行うなど、多角的に話題作りを行うことで、多くの集客に成功しました。


【展望】ヨルモウデが新しい日本の文化へ

地域は交流人口が増加し波及的経済効果を得ます。まちを誇りに思うひとが増えるインバウンド需要を取り込み、活気があふれていき地域から魅力的なコンテンツが生まれやすくなると考えています。結果的に、経済的な好循環が生まれ、日本の文化を磨き上げる企画が多数生まれることで、日本のブランディングにつながります。今後愛知県内はもちろん、日本全国にヨルモウデ文化が波及していくことで、豊川稲荷がヨルモウデの聖地と呼ばれるようになることを願っています。