食品ロスの量は570万トン(令和元年度)そのうち事業系の食品ロスは309万トンとなっています。
食べられるのに廃棄されてしまう「もったいない」食品を原材料として、アイディアで新しい付加価値を創出し、新しいものに生まれ変わらせた商品を紹介します。


第1回 株式会社中村商事

■REーWINE事業
~ワインパミスに付加価値を~
※ワインパミスとは、ワインを製造する過程で排出される葡萄の皮や種

【背景】

Q : アップサイクル食品に取り組むきっかけはありますでしょうか。

A : 提携ワイナリーを訪問した際に、職員の方々が頭にハチマキを巻いて地面に穴を掘ってワインパミス(ワインをつくる際に残る皮や種などの搾りかす)を廃棄している姿を見かけました。その時に強い違和感を覚えたのがきっかけです。当時は、まだSDGsという言葉も世間一般には知られていない頃で、私自身ももったいないというよりは、廃棄するワインパミスを有効活用してワイナリーさんに還元したいと思ったのが始まりです。最初はワインパミスをもらって帰って、自分でご飯に混ぜたり、お酒に混ぜたりしましたが、なかなか上手くはいきませんでした。その後も様々なトライアンドエラーを繰り返しながら、企業、個人問わず多くの方々にご協力をいただき今に至ります。

【課題】

Q : アップサイクル食品に取り組む中で、課題はありますでしょうか。

A : 課題はいくつかありますが、まずは品質の保持です。ワインパミスは酸化が早く品質の保持が大変難しいです。なので、弊社はワインパミスをできる限り早く回収することを心掛けていることと、鮮度を保つため冷蔵庫で保存しています。また、回収した後も不純物を手作業で取り除く等の作業が必要になり、品質の保持には仕方ないことですが手間もコストもかかってしまいます。そしてもう一つは、需要と供給のバランスが確保できていないことだと思います。ワインパミスは山梨だけでも年間約1万トン排出されます。年間と言っても正確には8月から11月の4か月間で約1万トンです。そんな中、弊社では、2021年度は60トンのワインパミスをワイナリー様から回収しました。今年度は3倍近くの回収を目標としています。今後は弊社以外にも多くの企業にワインパミスを有効活用していただいて、アップサイクル食品の需要が高まることを期待しています。需要が高まればアップサイクル食品の取り組みへのイニシャルコストやランニングコストといった課題もクリアでき様々な作業がオートメーション化できると思っています。

【手法】

Q : ワインパミスは、実際どのような商品に使われているのでしょうか。

A : 回収したワインパミスは主に、乾燥させた粉末やペーストに変えます。弊社では、それらを食品関係ではジャムやハーブソルトとして商品化しています。そして、美容関係ではフェイスマスクをはじめシャンプーやトリートメントも商品化しています。また、最近では、大学生とコラボしてワインパミスを作業着の染料に使用してみたほか、家畜の餌に混ぜ、飼料としても使用しています。まだまだ、製品化にはほど遠いですが、こういった取り組みがアップサイクル食品の出口、つまりは需要を高めていくことにつながると思っています。

【課題】

Q : 今後の展望については、どのように考えていますでしょうか。

A : まず、ワインパミスについては、冒頭も申し上げた通りトライアンドエラーを今後も繰り返して、お客様に納得していただける商品の開発を目指していきます。それは、ワインパミスの廃棄量を減らすだけではなく、提携ワイナリーの皆様への恩返しにつながると思っているからです。また、ワイン県山梨を盛り上げるための一助となれれば幸いです。今後も様々な業種とタイアップしてワインパミスの活用方法を考えていきたいと思っています。そして、企業としてはサステナブルな社会の実現に向けて、ワインパミス事業を通じてSDGs 達成に貢献する目標を持っています。弊社は営利企業として利益を独占したいのではなく、弊社の活動を多くの方々に知ってもらい、多くの企業、個人に同じような取り組みをしていただきたいと思っています。たまたま山梨は葡萄ですが、弊社が取り組みを行っていることは、県によって物は変わるものの日本全国どこでも同じ課題を抱えていると思っています。アップサイクル食品はけっして捨てるものを再利用しているわけではありません。まだまだ使えるものの形を変えながら付加価値を付けていると思っています。弊社は山梨からアップサイクル食品のイメージを変えていきたいと考えています。