バーベキューを通して地域のコミュニティを活性化させる事業が、兵庫県明石市で行われている。元々あったバーベキュー場が、事業として暗礁に乗り上げているという相談を受けたのがきっかけで始まりました。その地域で衰退してしまった事業を復活させた事例でもあります。
代表の成田氏がバーベキュー先進国・オーストラリアへの視察で出会った「コミュニケーション」そのものとして毎週末に行っているバーベキューを明石でもバーベキュー事業として展開させることで、市民のコミュニケーションを活性化させて、街を盛り立てることにつながった事例。「観光とは、スペインのサグラダファミリアのような、その土地の観光名所と呼ばれる異文化の日常にふれることだと考えている方も多いかもしれません。しかし、偶然に迷い込んだマドリード通りにあった集合住宅のすべてのベランダ窓に、花の鉢植えを飾ってあった景色やその習慣があったことがとても印象に残りやすい方も少なくないのではないでしょうか。旅行とは得てして、アクシデント込みで観光地の日常に振れたことのほうが覚えているものでしょう。」と成田氏は言う。
地域課題をロケーションや景色といった魅力で解決し、パブリックスペースの収益化にまでつなげた質的価値の事例です。

『質的価値のポイント』
①地域の「困りごと」の解決を事業につなげた点
②ただの公園をロケーション的な魅力から、事業化へとつなげた点
③日常を観光名所へ変換しようと展開している点

兵庫県・明石市 バーベキューアンドコー 代表取締役 成田 收彌 氏

【背景・課題】地域の「困りごと」の解決を事業にする

もともとは公共の福祉に資する目的でつくられた公園が、予算の関係や手入れや禁止条例の観点から「つまらない」ものになっていき、地域の魅力を発信する拠点になるべき公園というパブリックな場がなくなってきてしまっている。地域から寄せられた「困りごと」に対応している。

【手法】人と人のつながりが有形無形の価値を紡いできた

近年、地域コミュニティの希薄化と重要性が叫ばれています。「不要不急」の外出自粛を余儀なくさせるコロナ禍でその流れを加速させています。
バーベキューを通じてパブリックスペースに賑わいを生み出し、地域内でのコミュニケーションを活性化できます。

【プロセス】オーストラリアで得た気付き

日本ではバーベキューは年に一、二度楽しむ人が殆どです。しかし、バーベキュー先進国のオーストラリアではときどき行うイベントではなく「コミュニケーション」そのものとして毎週末楽しんでいます。明石でバーベキュー事業を展開することによって、市民のコミュニケーションを活性化させ、街を盛り立てることにつながると感じ、バーベキューを日常に組み込める価格で提供することと、コミュニケーションの場を街に設けることを両立させるため、飲食物の持ち込みを受け入れ、また利益の一部を公園に資する活動に充てています。

【結果】観光地としての新たな魅力とコミュニティの再生

バーベキューはコミュニケーションツールだという感覚は受け入れられています。皆で火を囲んで大きな肉の塊を焼く過程では、必ず会話が生まれます。火や塊肉の前では人間関係がフラットになりいつもとは違うコミュニケーションが自然と生まれます。さらに、海岸や公園などのパブリックな場所でバーベキューを行うことで観光地としての明石の価値を高めることにつながります。その地域らしいバーベキューを海岸や公園などのパブリックスペースで行うことで、観光客にとってはその土地の人の日常を体験するうえで、いままでの日本の魅力を伝えながら、パブリックスペースを活性化させ、やがて観光地としての新たな魅力を生みます。さらには私たちのコミュニティの再生にもつながります。

【展望】地域自慢マインドを

前提として「明石だからいろいろとできたのだろう」と言われることに危惧している。明石には綺麗な海や砂浜があり、明石海峡大橋が見える素晴らしいと土地。でも、どんな地域にも必ず素敵な場所はある。たとえば、出張先で高速道路を走っていると、しばしば言葉を失うような絶景に出会うことがある。でも、高速道路の上からしかみられない景色ならば、車は停まれないのでとても勿体ない。多くの人に楽しんでもらうにはどんな方法があるのかを考えてしかるべき。




質的価値創造 × 日本の新時代ビジョン
日本青年会議所 × PHP総研
『Voice』2021年11月号掲載
(引用記事はこちら)